Japan Craft Book  project

日本の神様の物語を日本の紙に綴る、描く。

We tell the stories of the Japanese Gods in “Washi Paper” Japanese crafted paper

“Kamimukae” Sacred volcanos and their eruption. -Takuhi-jinja Shrine, Okinoshima-

[特装版]神迎え (限定50部・原画1点入り)隠岐島・焼火神社

Holding the beauty of Japan

「日本の神様の物語を、日本の紙に綴る、描く」というコンセプトのもとに制作。
記念すべき第一号は、島根県隠岐諸島・西ノ島にある焼火神社が舞台です。
2022年7月23日の例大祭で奉納された「隠岐島前神楽(おきどうぜんかぐら)」
の世界をここに奏でてみました。

華やかでリズミカルな太鼓や鉦の音、神様と人間が戯れ遊ぶ幽玄なときを
感じていただけましたら幸いです。
連綿と謡い継がれてきた神楽歌をもとに、物語は綴られています。

こちらの特装版は、制作メンバーの思いが強く宿っており、一切の妥協なく、
作り上げました。

水野竜生の水墨画を西田和紙工房7代目・西田誠吉による手漉き天日干・
石州楮紙(稀)に印刷。
最終ページには、その石州紙に水野が朱を塗り、神楽を舞う社家を墨で描いた
原画(絵柄は50点全て異なります)も最終ページにおさめました。
ちなみに、その原画も1点1点、石州楮紙から作った茜染の和紙糸を使用し、
手作業で留めています。

神楽歌をもとに綴った稲垣麻由美の文は黒のスクリーン印刷。
辰巳紫瑛の書と裏面の紋は黒箔押し。

和紙の強靭さとしなやかさを体感していただけるように設計した製本は
全て手作業で仕上げております。
特に、カバーは石州楮紙をくるみ表紙という仕様で全面に手張りしています。
なおかつ、その楮紙の一部に、毛筆に水を含ませ走らせることで、やわらかくなった
部分を人の出て優しく裂くという伝統技法(水切り)で、一筋の光が宿ったような線、
鳥居のようにも見える演出をしています。
最新の印刷技術と伝統工芸が融合したアートブックです。

なお、江戸時代から続く箱義桐箱店に特注した桐箱に納め
京都の山藤さんにお願いした、紋付きちりめん風呂敷に包んでお届けします。

《ご購入特典》
・石州楮紙に和奏刷(特殊印刷)した絵を1点、自由に額装していただける形で納入
・『神迎え』誕生までのストーリーをまとめた冊子『掌に美しい日本を奏でる 第1章』付



【特別監修:焼火神社 第21代 松浦道仁宮司】
神楽も祭りもそうですが、どうも神様は日常には社に常駐していない体をとっています。
というのは、神社において祭りは年に何回か繰り返されのでその時に降臨するからです。
神社で恒例の祭りを恒例祭と呼び、それ以外を臨時祭と呼びます。
また、神楽はそういう意味では常に臨時祭でした。
臨時祭はそんなに珍しいものではなく、地鎮祭とか竣工式など
ある意味よく見かける行事でもあります。
その時、降臨する場所は注連縄で結界し、場を清めてから神様をお迎えします。
そういう意味では臨時祭が神社では最も原初的形態を表していると思われます。
それを解りやすくドラマティック音と舞で演出するのが神楽です。
ただ原則はそうだとしても、場所により、時代により表現方法には千差万別あり、
それが洗練された結果、各地方の神楽文化として今ここに定着しています。


【隠岐島前神楽(おきどうぜんがくら)】
左手に榊、右手に扇を持った男性が面をつけずに一人で舞う『神途舞』。
神楽歌には「幣の立っているこの場所も高天原(たかまがはら)であるので、
集まりなさい 四方の神々」とあります。
舞うことでその場を払い清め、共に神を招くのです。
そして、猿田彦大神が天孫を迎える演目あたりから、奏楽が少しずつ早拍子になり、
場の空気が大きく変わっていきます。
白面の善神と黒面の邪神が戦うという勧善懲悪ものの「随神」は動きも激しく、
邪神が退散される場面では自然と笑いと拍手が湧き、
「舞い児(まいこ)」と呼ばれる巫女舞では、その年に生まれた1歳未満の
あかちゃんを巫女(神子)が抱いて舞います。
新しい命が健やかに成長しますようにと願う舞は、神の威徳を得て
より濃密な時空を生んでいました。

隠岐島前神楽の最大の特徴は鉦や締太鼓が刻む4分の3拍子のアップテンポなリズムです。
「ヤハー ヤハー ヤハハー」と繰り返されるお囃子に包まれるうち、
お迎えした神様、舞う者、見る者のあわいが溶けていく様子を水野竜生が描いています。

現在、隠岐島前神楽は島前神楽保存会として島前各地の有志が集まり伝承しています。
昭和40年頃までは保存会組織ではなく、社家(しゃけ)と呼ばれる神楽を
専業とする特別な家系により、家伝秘伝として継承されていました。
現在も石塚家が1軒のみ残っています。


Kagura” is a type of Shinto ritual ceremonial dance. The term is a contraction of the phrase “Kami no Kura” ("seat of god"), indicating the presence of gods (kami) in the practice. As darkness falls in the cedar grove of Takuhi-jinja Shrine, drums and songs praising the gods can be heard. The story starts from here.

People dancing and playing together, with a sense of the divine around them, looks truly joyful and seems to be the true expression of the spirituality within us. The biggest event at the Takuhi-jinja Shrine, "Reitaisai" (the Annual Festival), is held every two years. We invite you to enter the world of "Oki Dozen Kagura", which is performed here.

Takuhi-jinja Shrine is located halfway up Takuhi-Yama mountain, the highest mountain in Nishinojima, Oki County, Shimane Prefecture, Japan. It was built between the end of the 10th and the beginning of the 11th century. It is believed that the shrine was founded one New Year's Eve when three sparks flew out of the sea and entered between the rocks where the present shrine building is located. Even today, people pray to the god of the Takuhi-jinja shrine to bring them to safety when the sea rages. The god of the Takuhi-jinja shrine is revered as the guardian of maritime safety. This historical shrine was the subject of a waka poem by the 12th-century Emperor Go-Toba. Furthermore, it is also famous for being portrayed in Ukiyo-e paintings by Hiroshige and Hokusai

Bibliographic
Details

price
¥330,000(税込)

Member

  • 特別監修:第21代 焼火神社宮司

    松浦道仁

    Under the supervision: the 21st Chief Priest of Takuhi-jinja

    Michihito Matsuura

    焼火神社第21代宮司。國學院大学卒業。西ノ島町コミュニティ図書館いかあ屋を育てる会会長。隠岐郡西ノ島町焼火山生まれ。

  • 水野竜生

    Artist:

    Ryusei Mizuno

    東京藝術大学美術学部日本画科卒業 。グランド・ショミエール、 エコール・デ・ボザールで油彩、上海・北京にて水墨画技法を学ぶ。焼火神社の地の底から遙か宇宙の彼方まで噴き出すような怒涛のエネルギーと神楽を舞う人々を水墨画で表現。

  • 稲垣麻由美

    Text

    Mayumi Inagaki

    文筆家・編集者。プロジェクトの発起人。2021 年「日本に古から語り継がれている各地の縁起や伝承を、その地で生まれた紙(和紙)に宿し、世界へ届けたい」と思い立つ。著書に『人生でほんとうに大切なこと』(KADOKAWA)他。

  • アートディレクション/デザイン

    谷 さや

    Art Direction/Design:

    Saya Tani

    プロジェクトの全アートディレクション、本展示のクリエイティブ全般も担当。『神迎え』制作にあたっては、手漉き和紙の魅力を最大限に感じてもらえる形とデザインを模索。細やかに手を動かし、驚きのアイディアを形にしていく。

  • プロダクトディレクション

    篠原慶丞

    Bookbinding/Printing:Shinohara Shiko

    Keisuke Shinohara

    有限会社篠原紙工 代表取締役  コミュニケーションを通して的確かつ斬新な造本を生み出す。『神迎え』制作では、手漉き和紙を使った印刷、製本は困難を極めたが、あらゆる手法を試み、実現に導いた立役者。

  • 協力:マスミ東京

    横尾 靖

    In cooperation with MasumiTokyo

    Yasushi Yokoo

    表装美術家 日本の伝統文化や精神性を和紙・掛 軸・伝統織物を通して世界へ発信。展覧会やワークショップなども世界各地で開催。本プロジェクトでは和紙の選定、扱い方などをアドバイス。株式会社マスミ代表取締役。

  • 協力:西田和紙工房

    西田誠吉

    In cooperation with Nishida Washi Kobo

    Seigi Nishita

    西田和紙工房7代目 石州半紙技術者会 会長  伝統技術伝承協会会員 楮を自ら育て、遥か昔より絶え間なく湧き出る地下水を使って和紙作りを続けて40年余。本紙には西田和紙工房の最高級紙「稀」を使用。

  • 題字・書

    紫瑛

    title letter

    Shiei

    奈良教育大学大学院特別書道科卒。日本人が古来より大切にしてきた 「ととのえる」を書に織り込み届けている。五書体の中でも行・草体を第一の研究分野とする。 本作品の題字と文中の神楽歌を揮毫。

  • 英訳

    武部由子

    Translator

    Yuko Takebe

    米国コロンビア大学大学院映画学科修了。NYにてコンテンポラリー・ダンサー、作曲家、画家等とコラボし、映像作品を制作。2016年、帰国後、国内外を問わず、ショートダンスフィルムやドキュメンタリーなどの映像制作および、映画パンフレット等の翻訳に従事。

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