Japan Craft Book  project

隠岐だからこそ、生まれたアートと本

隠岐 海士町のクリエイティブスペース「GANGUBAKO」
での1週間にわたる展示が、11月1日、無事終了致しました。


終わってみれば、人口2000人の島で160名を超える方がお越しくださったという奇跡。
本当にありがとうございました。

この展示は、アーティスト・水野竜生とデザイナー・谷さやが、
2019年から隠岐に通って制作してきた作品の数々を中心に、
『神迎え』も誕生のプロセスから伝わるように展示。

嬉しかったのは
作品をきっかけに島の方とたくさんの会話が生まれたこと。
子どもたちが目をキラキラさせて、想定外の質問をしてくれたこと。
学校帰りに、お仕事帰りに、ふらっと立ち寄ってくださった方が大勢いらしたこと。
最初は遠目に見ていらした近所の方が、みかんや葡萄の差し入れまでしてくださるようになり、
地域のみなさんが応援してくださるようになったこと。

たくさんの笑顔があふれた幸せな1週間。
東京にいると、制作したアートに対して評価されることを求めがちですが、
いや、そんなことは、二の次、三の次だったんだな、
と、大事なことを思いだせた日々でもありました。


もともと、水野先生も谷さんも「愉しいかどうか」を
大切な「ものさし」とされている方で、
だから、10メートル作品を海に浮かべてしまったりするわけです。
(この、しまったり、と書いてしまうところが、まだまだの私)

「作品をこの隠岐の美しい海に浮かべたら、
きっと楽しいだろうなって思ったんですよね」
と大黒様のようなお顔をした水野先生が島の方に説明している横で、
谷さんが、「ですよね」なんて言いながら、弁天さまのような微笑みを浮かべている。
そんな様子を、私は幾度となくそばで見てきました。


「楽しい!」 「愉しい!」が大前提にないと、イイ渦なんて生みだせないのだと
私はこのお2人にずっと教えられてきた気がします。

そして、28日にはトークイベントも隠岐國学習センターで開催していただきました。
「隠岐だからこそ生まれたアートと本」というタイトルに沿って
お話をさせていただいたのですが、
最も記憶に残っているのは、ある高校生からの質問です。

「みなさんが、心動かされて作品を生み出されてきたように、
私は、そんなふうに心動かされるものにまだ出逢えていません。
それは、自分のせいでしょうか?」

「そんなことはないよ」と、あの場ではお伝えしましたが、
実は私も、遠い昔、そんなふうに思っていました。

自分は何も掴めていない気がして、右にも左にもいけない感じ。
どう一歩を足を踏み出せばよいのかもわからなくて、
ただ、周りの人がキラキラ見えたあの頃。

「だいじょうぶ。だいじょうぶ。
そんな時間も、いつか何かを生み出す大事なピースとなります」
と本当はお伝えしたかったな・・・


そして、最後に。
念願だった隠岐での展示とトークショーが叶ったのは、
GABGUBAKO のオーナー・プロデューサーの 
中村徹也さん  南貴博さん 南麻衣さん のおかげです。
本当にありがとうございました。

そして、何よりも
隠岐の神様に、ご来場くださいました皆々さまに、
幾重にもお礼を申し上げます。








 



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