Japan Craft Book とはなにか。
それは実際のところ、1冊1冊、形にするなかで本質が立ち上がり、
自然と見えてくるものだと思っています。
ただ、目指すところを短い言葉で表すならば、
「掌に 美しい日本を奏でる」です。
デザイナーの谷さやさんが、Japan Craft Book Project の概要を
コンパクトに動画にまとめてくれました。
ぜひ、ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=jZExCkSnrVY
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ちなみに「美しいとは、なにか」をよく考えます。
全ての人が美しいと感じるものは存在しないかもしれませんし、
「美しい」の捉え方は人それぞれです。
ただ、一つ言えることは、ハッと心を動かされる時、
人は「美しい」と感じるのではないか、と思っています。
それは、日常の中に溢れています。
目に見えるものだったり、見えないものだったり。
ただ、それは慌ただしい日々の中ではなかなか気づかず、感じられません。
わざわざ手に取り、読む、見る。
そんな「本」という仕掛けの中だからこそ、
できることがありそうだと思っています。
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Japan Craft Book Project では現在、
島根県隠岐諸島 西ノ島にある焼火神社の本を2冊制作中です。
1冊は焼火縁起をもとにした『御神火』。
もう1冊は、隠岐島前神楽の世界を描いた『神迎え』です。
そしてまだ先の話になりますが、焼火神社の本が完成したら、
次はまた場所を移し、『御神木』『御神水』『御神山』・・・というように、
「日本の神様の物語を、日本の紙に綴る、描く」シリーズを
順次制作していきたいと考えています。
その度ごとに、関わる作家もさまざまに広がっていくと、
より多彩な世界が誕生しそうです。
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小泉八雲が『知られぬ日本の面影』の序文の中で、
「語り継がれてきた小さな物語や迷信にこそ、
人々の希望や怖れ、善悪の観念、目に見えぬ世界への想念が込められている」
と、書いています。
昔、おじいちゃん、おばあちゃんが、こんな話をしてくれたよ、
と日本各地にひっそりと残る物語を、その土地に近い和紙を使い、
世界へ再発信することができれば幸せです。
Japan Craft Bookプロジェクト
代表 稲垣麻由美
ーつづくー