ある日、突然、
「そうだ、日本の神様の物語を
日本の紙(神)に綴ろう」
と何かの啓示を受けたように思ったのは
2年半ほど前のことになります。
それは、
大事な宿題を忘れていて、はっと思い出したような
はたまた、「これが、ずっと探していたことだった」
そう思った瞬間でした。
それから、何かに導かれるまま、
まさに、かんながらに歩んできたら、
たくさんの人に出逢えました。
全てが、必要なタイミングで、必要な人に。
そんな中のお一人。
この、指が長く美しい職人の手をした人をご紹介します。
この方は新島龍彦さん。
製本をお願いしている篠原紙工の制作チームリーダーであり、造本家としてもご活躍です。
私は新島さんがご自身のサイトに綴られたメッセージが大好きで、これまでにおそらく千回近く読み返しています。
その中の一つをご紹介します。
「本の脇道」
https://tatsuhikoniijima.com/philosophy/
「本は情報と想いを伝えるために生まれる。
内容を読み手にしっかりと届けることに本の使命がある。
それこそが、本の王道だと思う。
にもかかわらず、その王道に沿って歩いてきたつもりが、気づけばわたしは脇道のようなところを歩いている。
本が本として生まれる時に、記された内容とは別の意味や価値が生まれるのではないかという、王道からは外れた道だ。
それは、本を手に取る人に本の内容だけではなくて、本が生まれるまでに起こった物語や、本を作ることを決めた人の想いに、価値を見出してもらいたいと願い、本を作っているということ。
本が生まれようとする場所に生じるエネルギーや想いは、それだけで人の心を潤す、本の内容と同じくらい価値あるものだと、わたしには思えてならない。
そういった想いとエネルギーに支えられて、本はこの世界に存在している。
本を作る時に自分の想いやエネルギーが見えすぎてしまうのはわたしの未熟だ。
それでも、その脇道はこれからの本の在り方のひとつとなるのではと、わたしは信じて歩いている。」
この方、そして、篠原紙工の仲間の皆さんに、
たくさんの想いが詰まった本作りの最後、形にするという、最も大事なところを託せられることを心から幸せに思います。
これまでもお伝えしてきた通り、
『神迎え』特装版の最後のページには、水野竜生先生の原画が入ります。
神楽の舞人を描いたもので、1点1点違う絵となります。
さて、どうやって原画を入れるのか・・・
デザイナーの谷さんが試行錯誤し、辿り着いたのは、黒い台紙に針で穴を空け、石州和紙で作られた赤い糸を使って四隅を留めるというもの。
印刷機を使うこと以外は、すべて手作業の本がいよいよ誕生します。
刊行日を2024年1月1日と決めました。
予約販売を Japan Craft Book のサイトで受け付ける予定です。
また改めて、ご案内させていただきますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。
今号もありがとうございました。
Japan Craft Book プロジェクト
代表 稲垣麻由美
official@japancraftbook.com
ーつづくー