このファインダーをのぞく、渋い男。
隠岐島 海士町になんらかの形で携わったことがある方なら、知らない人はいないはず。中村徹也。海士町にある旅館「お泊まり処 なかむら」の主人。
いや、今や世界が注目する隠岐の動画クリエイター集団。中村組の組長・徹(てつ)さんです。
この中村組に、『神迎え』焼火神社奉納時の記録を含めた動画制作をお願いしました。
完成した作品を、まずは、ぜひ、ご覧ください。
神迎え 隠岐島 焼火神社 / Japan Craft Book Projects
さてこの動画、なんと、再生回数がこの1ヶ月ほどで1.2万回を超えました。
ありがたい。中村組のファンのみなさんのおかげです。
実は、この本を制作し始めた時から、完成したら中村組に動画を作っていただこうと心に決めていました。
それは、中村組が隠岐のクリエイターだからというだけでなく、数々の受賞歴があるからでもなく、全ての作品に横たわる、ぶっきらぼうな愛に魅了されていたからです。
その愛は、なんて表現したらよいんだろう。
例えば、小学校に居つくようになったやせっぽちの子猫がいたとします。みんなが「かわいいね」なんて、撫でていたりするときは、「なんだよ、ぶさいくな奴」なんて言ってる男の子が、寒い雨が降った夜、親にも内緒で雨がっぱ一つでその猫を探しにでかけ、やっと見つけた震える子猫を自分の懐に入れてあっためている。でも、そんなことがあったのを知っているのは、子猫だけ・・・。
そのようなやさしさです。
伝わりますでしょうか?
さて、撮影時はまだまだ寒い2月1日。
中村組に加えて、この日は海士町在住のデザイナー南貴博・麻衣さんご夫妻、全てのご縁を繋いでくださった、米子の森田多佳子さんも立ち会ってくださり、撮影がスタート。
いやいや、実際は、立ち会うなんて生やさしいものではなく、山の中腹にある焼火神社まで、重たい機材を一緒に担いで上がってくださり、そして、時にはカメラやレフ板も持ち。ほんとうにあったかい方たちに囲まれて、この動画は完成しています。
そして、私から中村組にお願いしたのは2つ。
「この動画をご覧になった方が、焼火神社に行ってみたい、そして、この本を見てみたい、と思ってくださること」
それがどれほど、難しく、頼まれた方にとってはプレッシャーだったのか。
まさに言うは易し・・・です。
ある日、徹さんから、次のようなメッセージが届いたことがありました。
「わからん。あらためて、質問です。この本は 一言でいうと なんですか? なんつうか 本を持った人にどうなってほしいですか? って感じ。おしえて」
実に鋭い、的を射た質問。
私は一言では答えられず、1000字近いメッセージと、それまで書いてきたニュースレターのURLをペタペタ貼り付けて、送り返したのでした。
そして、返事がないまま1週間後に送られてきたのが、この動画です。
そこには、別日に泊まり込んで撮影してくれた、焼火神社の厳粛な佇まいとそこに流れる清澄な気、それまでにデザイナーの谷さんが撮り続けてくれていた記録映像が見事に織り込まれて、仕上がっていました。
『神迎え -隠岐・焼火神社』Japan Craft Book project
(中村組が焼火に泊まり込んで撮影してくださった日は、雪が舞っていたそうです)
そして、余談ですが・・・この中村徹也という男。
だれにでも、旅館に泊まりにきたどんな人にも、こんな感じで話しかけます。
「なんで、来たん?」の会話が始まる旅館は、なかなかないと思うのですが、愛ある塩対応がなんとも心地よく、また来たくなる不思議な力があって、リピート率が半端ない宿なのです。
さて、この夏、焼火神社の例大祭にあわせ、JTB山陰様のお力添えもいただき「焼火神社&隠岐島前神楽ツアー」(2024年7月22~24日)を計画しました。
このニュースレターを読んでくださっている方、本をご購入いただいた方々から、「隠岐島に行ってみたい!焼火に行ってみたい!」とのお声をたくさんいただいたからです。
詳細はこちら。
なお、ツアーの中では、西之島絶景の摩天崖、水野竜生先生が焼火神社で描かれた「10メートル作品」もご覧いただく予定です。一緒に楽しい旅にでかけてみませんか。
Japan Craft Book プロジェクト
代表 稲垣麻由美
official@japancraftbook.com
ーつづくー